感情が、大きく動いた記憶がない。

喜んだ記憶も、泣いた記憶も、怒りで我を忘れた記憶も、あまりない。子供の頃からそうだったと思う。もともと感情の振れ幅が小さいタイプだった。

23歳のとき、初めてうつになった。それから今、38歳。うつはもう治っているはずだと言われている。数字の上では、そうなんだと思う。

でも、感情が動かないのは変わっていない。というより、うつになってから、前よりさらに動かなくなった気がする。

これを誰かに話したことは、あまりない。うつが治ったのに感情が動かないというのは、なんだか矛盾している気がして、自分でもどう説明していいかわからなかった。

23歳でうつになってから、ずっとこうだった気がする

子供の頃から感情の起伏が少なかった、というのは自分の中で割とはっきりした感覚としてある。

盛り上がっている場でも、あまり盛り上がれない。誰かが泣いているのを見ても、自分は泣かない。悲しいはずの場面でも、頭のどこかが冷静なままだったりする。

それが良いことなのか悪いことなのか、子供の頃はよくわからなかった。ただ、周りと少し違う感覚があるな、というくらいだった。

それが、23歳のうつをきっかけに、さらにはっきりしたと思う。

うつの間は、感情どころではなかった。何も感じられない時期があった。そこから回復して、うつという状態からは抜けたはずなのに、感情の動きだけは戻ってこなかった。

戻ってきていない、と言うべきかもしれない。

これがうつの後遺症のようなものなのか、それとも元々の自分の性質がうつをきっかけに強化されただけなのか、正直よくわからない。たぶん両方なんだろうと思っているけど、確信はない。

38歳になった今も、はっきりした答えは出ていない。

でも、負の感情だけはちゃんと感じている

ここが自分でも意外だったところなんだけど、感情が全部動かないわけではない。

負の感情は、ちゃんと感じる。

不安になる。焦る。腹が立つこともある。むしろこっちはしっかり働いている。

喜びとか感動とか、そういう「正の感情」だけがすっぽり抜け落ちていて、不安や焦りといった「負の感情」だけは普通に残っている。

これに気づいたとき、少し不思議な感じがした。感情が動かないなら、全部平等に動かなくなればいいのに、なぜか片方だけ生き残っている。

自分の中では、感情がゼロになったわけじゃなくて、半分だけ機能が止まっている、みたいなイメージに近い。

正直、これはこれで居心地が悪い。喜びは感じないのに、不安や焦りだけはちゃんと感じるというのは、なんというか、あまり得な組み合わせではない気がする。

厄介なのは、その負の感情に振り回される時があること

そしてもう一つ、これは最近さらに気づいたことなんだけど、負の感情は「感じる」だけでは済まないときがある。

振り回される、時がある。

感じるだけならまだいい。でも、その不安とか焦りが頭の中に居座って、他のことが手につかなくなる時がある。

正の感情が動かないぶん、負の感情が来たときにそれを打ち消すものが自分の中にあまりない、という感じがする。喜びや楽しさが、負の感情を薄めてくれる役割を持っているとしたら、自分にはその薄める材料が最初から少ない。

だから一度不安になると、その不安がそのままの濃度でしばらく残り続ける。振り回されるというのは、たぶんそういうことなんだと思う。

これについて、まだ自分の中で「こうすればいい」という答えは出ていない。何かを試して改善した、という話ができれば良かったんだけど、今のところそこまでは至っていない。

ただ、「感情が動かない」「でも負の感情だけは動く」「その負の感情に振り回されることがある」という、この三つの事実が自分の中で繋がって見えてきたのは、最近になってからだった。

前はこの三つを、それぞれ別の困りごととして、なんとなく個別に感じていた気がする。

まとめ

感情が動かないことについて、今のところ結論は出ていない。

うつは治ったと言われているのに、感情の起伏だけは戻ってこない。負の感情はちゃんと感じるのに、正の感情はあまり感じない。そして、その負の感情に、時々振り回される。

これを「こう対処すればいい」という形にまとめられたらよかったんだけど、今の自分にはまだそれができない。

ただ、これを言葉にしてみて、自分の中でこの三つがバラバラの悩みじゃなくて、一つの繋がった状態なんだ、というのは少し見えた気がする。

もし同じように、感情が動かないことに戸惑っている人がいたら、それは別に自分がおかしいという話ではないと思う。少なくとも自分は、まだ答えのないまま、この状態と一緒に生活している。

おすすめの記事